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2014年度(平成26年度)北海道予算案についての談話

連合北海道 事務局長  出村 良平

1.高橋知事は2月13日、任期中、最後となる2014年度道予算案を発表した。予算規模は、一般会計が2013年度当初比で315億円(1.2%)増の2兆7,190億円となり、7年ぶりに前年度を上回ったものの、歳入不足は80億にのぼり8年連続の赤字予算編成となった。
歳入面では、4月からの消費税率引き上げの影響も含めて道税収入が5,174億円と214億円増えた反面、地方交付税は前年度当初より136億円(2.0%)減少し6,694億円となった。道債は、6,316億円と前年度より254億円(4.2%)増加し、道債依存度は23.2%に達している。道債残高は前年度より減ったとはいえ、道民一人あたり百万円以上の借金を抱える道財政は、依然として厳しい状況に変わりない。

2.歳出面では、保健福祉関係の義務的経費や道債償還費、人件費など固定的支出が歳出全体の約7割を占める一方、公共事業費は昨年並みの3,043億円(歳出の11.2%)、政策予算である一般施策事業費は前年度より224億円減の4,755億円(同17.5%)と、道の独自施策は、限られた財政でのやりくりを強いられている。人件費と政策予算は過去10年間、ほぼ一貫して減少し、道債償還費も7千億円台で推移するなか、高齢化の進展を反映した保健福祉関係予算は右肩あがりで増え、硬直した財政運営が続いている。

3.知事は予算案発表の席上、11年間の財政運営の総括を問われ、義務的経費である保健福祉関係費の増加等を理由にあげて、「今しばらくの財政再建に向けた努力と行財政改革に取り組む」との考えを示した。
2003年当初から5兆円以上の道債残高を抱えて発足した高橋道政は、2004年から2006年の三位一体改革による地方交付税削減など道財政を取り巻く状況の変化や、2008年のリーマンショック以降の急速な景気悪化もあり、2010年度には道税収入が5千億円を割り込むなど、財政立て直しは思うに任せなかった。この間、長引く景気低迷のもと、地域経済の衰退や雇用環境の悪化、所得の低下などにより、苦境に陥る道民・勤労者や事業者が増え、道職員もまた長期に及ぶ給与削減や人員削減で疲弊している。

4.2014年度の重点政策は、経済、環境、暮らしの3本柱で昨年と変わらず、人口減少と少子高齢化が進み、地域福祉の充実が今まで以上に求められるなか、それに応える政策は充分ではない。また、地域経済と雇用の拡大・創出に向けた施策もこれまでの延長線上にとどまり、物価の上昇や消費増税を前にして、道民所得の改善や暮らしの安定に向けた道の覚悟が伝わってこない。
高橋道政の11年間は、国の政策に追随しながら財政再建に汲々としてきた。いま、道政に求められることは、中央集権的な安倍政権のもとで漂流する道政を続けるのではなく、道民の将来と地域の未来を見据えた政策である。
2014春季生活闘争を通じて連合北海道は、「働くことを軸とする安心社会」が地域でこそ実現されるよう職場・地域から声を上げ、国政・道政の転換を求めていく。

以 上

南スーダンの韓国軍への弾薬譲渡に対する談話

連合北海道事務局長 出村 良平

安倍政権は12月23日、国連と韓国軍から要請があったとして、南スーダンで国連平和維持活動を実施している陸上自衛隊保有の弾薬を譲渡した。
このようにPKO法に基づき他国軍に殺傷性の高い武器を譲渡するのは初めてであり、武器輸出三原則に抵触することは明確である。戦後を通して堅持し続けてきた国際社会における日本の平和的貢献が大きく揺らぐことに強い危機感を覚える。

弾薬の譲渡について、政府は先の国会で成立させた国家安全保障会議において、首相や防衛大臣など4者会合を開催し、わずか一日で即断した。官房長官談話では、緊急の必要性・人道性が高いなどとし、武器輸出三原則の特例として、説明している。

歴代内閣は、PKO法による物資提供について、「武器や弾薬、装備は含まれていない」、「国連から要請があったとしても断る」と国会答弁を繰り返し、法律の制定当時から国連への自衛隊の武器・弾薬の譲渡については明確に否定してきた。しかし、政府は、「物資協力ができる」と規定した条項をもって、「法的には武器弾薬を除くという適用除外は書かれていない」と主張し、これまでの政府見解を翻して正当化している。

このように緊急事態として、弾薬譲渡を拙速に判断し、武器輸出三原則の「例外措置」としたことは、これまでの国会論議の蓄積によって「武器・弾薬の供与はしない」としてきた政府見解と武器輸出三原則に矛盾し、国民に対する二重の欺きであり、決して看過することはできない。武器譲渡に関わり、日韓両政府の説明の食い違いも報道され、緊急性・必要性の疑念も生じてきている。また、わずか数名の閣僚の判断による日本版NSCの問題性や安倍政権の独善的・独裁的政治手法の危うさが一層明確となった。

これまで安倍政権は、多くの国民の反対をおし切り、特定秘密保護法や国家安全保障会議などを法制化してきた。また、国家安全保障戦略などにおいても、愛国心の明記や武器輸出三原則の緩和、専守防衛からの転換を図るなど、集団的自衛権行使の容認を視野に、最終的には憲法9条の改悪を目論んでいることは明らかである。
連合北海道は、国民への説明や論議もないまま、既成事実化を図るなし崩し的な武器三原則の逸脱を許さず、武力によらない平和的解決を求めるとともに、働くことを軸とする安心社会の実現に向け、憲法の基本的人権、国民主権、平和主義の三原則に基づき、運動を強化していく。

以 上

特定秘密保護法案の参議院強行採決に抗議する談話

連合北海道事務局長 出村 良平

12月6日深夜、安倍政権は、衆議院に引き続き、良識の府とされる参議院本会議においても、反対を求める各界や多くの国民の声を無視して、特定秘密保護法案を強行採決する暴挙に出た。政治を私物化する自公政権に、満身の怒りをもって強く抗議する。

本法案は、衆議院本会議において修正協議に応じ合意した野党からさえも批判が噴出し、反対票や退席行動をとらせた。また、参議院本会議でも、十分に審議を尽くすことなく自公単独で強行した独裁的政治手法は断じて許されない。

法案担当相の国会答弁も二転・三転した。このことは、いかに本法案の秘密指定の基準や期間が曖昧で、行政の恣意的な拡大解釈を可能とし、しかも検証・監察する独立した第三者機関の設置についても不透明であるなど、極めてずさんで悪法であるかを浮き彫りにさせた。

一方で自民党幹事長は、本法案に反対する行動に対して、「絶叫戦術はテロ行為と変わらない」として、規制強化を示唆する言及をもしている。このように異論をとなえたり、体制を批判する国民に対して、言論や表現の自由を束縛し、蹂躙するという本法案の本質があらわになった。

本法案は、特定秘密を漏洩した場合や情報の取得、未遂などについても重罰を課すとして、共有財産である情報を国民から奪い、報道の自由や「国民の知る権利」を抑制し、首相を頂点とする行政権力に集中させるものにほかならない。都合の悪い場合は永久に秘匿し、情報操作や捏造さえも可能であり、国民統制をねらっていることは明白である。

このように特定秘密保護法は、国民主権を著しく侵害し、社会全体を萎縮させ、監視国家に導くものである。こうした戦前を彷彿させる法律を断じて認めるわけにはいかない。連合北海道は、特定秘密保護法の撤廃を求めるとともに、安倍政権の暴走を国民の連帯でくい止め、働くことを軸とする安心社会の実現に向け、基本的人権、平和、民主主義を守る観点から運動を強化していく。

以 上

特定秘密保護法案の衆議院強行採決に対する談話

連合北海道事務局長 出村 良平

11月26日、安倍政権は、衆議院本会議において、特定秘密保護法案を数の力を背景に強行採決した。本法案のパブリックコメントでは8割にものぼる国民が反対した。直近の世論調査においても賛否が拮抗し、「知る権利」については6割以上が守られないとし、最終となる福島での地方公聴会では参考人全員が慎重審議や反対を求めたにもかかわらず強行したことは、あまりにも横暴であり、国民不在の政治姿勢は決して許されるものではない。

特定秘密保護法案は当初より、「行政機関の長」の判断で恣意的に「秘密」と指定でき、公務員が秘密を漏洩した場合は最高で懲役10年とし、民間人も罰則の対象とするなど、国民の知る権利や言論や表現、報道の自由が侵害される危険性が指摘されていた。

国会での審議が進むにつれて、特定秘密の基準や期間が曖昧で、行政機関の判断で国民の共有財産である情報が永遠に隠匿される可能性が一層明らかとなった。罰則の範囲も、秘密の漏洩にとどまらず、取得行為、それらの未遂、教唆、扇動、共謀、過失による漏洩まで対象となるなど、一般市民にまでもおよび、社会全体を萎縮させ、監視国家となる恐れもある。

とりわけ、労働組合に対しては、「スパイ活動防止」や「テロ活動防止」の分野を理由として、体制批判を行うような集団的示威運動、デモ行進、集会開催などの活動を敵視し、恣意的に秘密を指定して、結社の自由など間接的に制限を加えてくる危険性も否定できない。

第三者機関の設置についても、「独立した公正な立場で検証、監察できる新たな機関の設置を検討する」として、具体的な内容は盛り込まれていないばかりか、閣僚を指揮・監督する首相が第三者的に関与するなど、特定秘密への拡大解釈の疑念は、さらに深まってきた。また、国会への特定秘密の提供の是非は政府が判断するとされており、国会による「国政審査権」が十分に機能しない可能性もあり、三権分立さえも脅かしている。

各国が秘密保護法制を進める上で、国民の知る権利を蔑ろにしないため、国際指針として秘密の範囲や期間などを限定する「国家安全保障と情報への権利に関する国際原理」(ツワネ原則)を定められているが、本法案はこれにも反し、情報開示を進める国際潮流に逆行している。

民主主義の砦とも言われる表現・言論の自由など、国民の権利を制限して、行政権力を巨大化させ、暗澹たる社会に導くような法案を成立させるわけにはいかない。連合北海道は、本法案の廃案を求めるとともに、働くことを軸とする安心社会の実現に向け、今後も憲法講座をはじめ、基本的人権、平和、民主主義を守る観点から運動を強化していく。

以 上

平成25年度北海道最低賃金改正に関する談話

連合北海道事務局長 出村 良平

北海道地方最低賃金審議会は、8月21日18時過ぎ、平成25年北海道の最低賃金を現行の719円から15円引き上げ、734円に改正し、10月18日から発効することで結審した。
地域最低賃金は、北海道の低賃金構造を改善し、「働く貧困層=ワーキングプア」の解消のためのセイフティーネットの一つとして最も重要なものである。
本年度の北海道地方最低賃金審議会は、現下の最低賃金を取り巻く状況を踏まえ、「経済財政運営と改革の基本方針」及び「日本再興戦略」に配意した調査審議を諮問されたが、公労使三者の真摯な議論を重視する姿勢を明確に打ち出してスタートした。
本年の審議に当たって労働者側は、諮問内容を重く受け止め、今後、物価上昇のもとで、特に低所得層(200万円以下の労働者が23%)への十分な配慮が必要であること。「生活保護とのかい離額を5年以内で解消する」と合意した期間が既に過ぎていることから本年度で生活保護費とのかい離22円を解消し、加えて働く者が経済的に自立可能な水準への改定を強く求め、雇用戦略対話合意の800円、1,000円への引き上げに向けた道筋を付けることを強調した。
これに対し使用者側は、政府方針を重視し過ぎることなく、一定程度の配慮にとどめるべきであることや、近年の特異な最賃引き上げ率を持ち出して、個別企業の支払い能力の限界を強調し、また、生活保護も「逃げ水」の状況が続いており、かい離解消は柔軟に対応すべきと主張した。
労働側委員は、「北海道だけが、労働の対価としての賃金が生活保護費以下であってはならないこと」「北海道の非正規労働者の比率が42.8%にも及んでおり、その内、3分の1が主たる生計者であることを重視すること」など、大幅引き上げに向けて、最低賃金のあるべき水準の議論を尽くし、本年度でのかい離解消に最大限努めるよう主張した。
しかし、本年度は平成24年度生活保護水準の見直しに伴い、かい離額が16円から22円に拡がったことや、「中賃目安」が「11円~22円、2年以内の速やかな解消」と幅のある表現の捉え方を巡って、審議会議論は激しいやり取りとなり、発効日も昨年同様、大幅に遅れる状況となった。
労使譲らず激しい審議が続く中、公益委員から「中賃目安などを考慮する必要もあり、15円の引き上げと生活保護費とのかい離を来年度で解消する」と提案があった。労働側は、引き上げに伴う影響率がパートに至っては33.1%と労働者に与える影響が極めて大きいこと、来年のかい離解消が担保されたとの判断をもって、三者合意には至らなかったが、労働側が公益案に賛成することで結審に至った。
今年は、5月20日から1ヶ月かけて「STOP THE 格差社会!暮らしの底上げ実現」全道キャラバン行動を取り組んだ。「最低賃金の引き上げによって賃金全体の底上げを図る」「国民が安心して暮らせる社会をつくる」ことを主張し、全道106箇所で街頭宣伝活動等を実施し、審議会会長宛のFAX要請(約420団体)、労働局前での昼休み集会、札幌駅前「早朝街宣行動」などを展開し、道民世論の喚起に向けた取り組みに全力をあげてきた。
今回の改定額は、労働側が主張してきた本年度で生活保護とのかい離解消という要求からして、決して満足のできる改定額とは言えないが、15円は過去最高の引き上げ額であり、また、引き上げ率2.09%も過去最高となった。非正規労働者が沖縄県に次いで高く、引き上げに伴い3割以上の労働者に影響を与えることや、生活保護費とのかい離を来年度で解消する答申が出されたことなどを総合的に考慮すると一定評価できるものと言える。
地域別最低賃金の闘いは一定収束を図ることとするが、引き続く、特定(産業別)最低賃金の引き上げと、残された生活保護とのかい離解消はもとより、雇用戦略対話合意の800円、1,000円への引き上げに向けて、改正された最低賃金の履行確保を求めていく。
この取り組みに結集された産別・単組、地協・地区連合、関係各位のご協力に感謝し、引き続き、最低賃金の大幅引き上げに向けて、今後も全力を挙げるとともに、その遵守を求めていく。


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