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日米防衛協力指針の再改定に対する談話

2015年4月28日

事務局長 出村 良平

日米両政府は27日、外務・防衛担当者会議を開催し、日米防衛協力指針(ガイドライン)を改定する最終合意を行った。改定内容は、日本の歴代内閣が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権に対する考えを覆し、戦後の安全保障政策を大きく転換させるもので、決して看過できない。国民に対する説明や国会論議がないまま、改定を先行させ、安保法制の「改正」に向けて既成事実化をはかる独裁的政治手法に強く抗議する。

これまでのガイドラインでは、1)平時、2)有事、3)周辺事態の3分野で米国への協力内容を規定し、周辺事態に限って後方支援できると定めていた。しかし、今回の改定では、憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の閣議決定を踏まえたものとし、1)グレーンゾーンを含む平時、2)重要影響事態、3)日本への武力攻撃事態、4)存立危機事態、5)大規模災害の5分野での協力を規定した。

周辺事態法を重要影響事態法に変更して、米国の後方支援は日本周辺としていた地理的制約を世界規模に拡大し、存立危機事態として米国や他国への集団的自衛権行使を盛り込むなど、日本防衛を主眼としていた日米安全保障条約を根底から変質させている。こうした米国との一体化は、日本が平和国家として築き上げてきた信頼や地位を失うばかりか、
近隣諸国をはじめ国際緊張を一層高め、米国や他国の戦争に巻きこまれる恐れやテロの標的になる危険性など、国民のいのちや暮らしを脅かすことを強く懸念する。

改定の背景となっている憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の閣議決定は、多くの国民が反対する中で強行された。政府は今次国会で、関連する安保法制の「改正」や立法化の動きを強めているが、改定を先行して法「改正」を誘導するような方法は手続的にいっても不正で、国会を軽視し議会制民主主義を大きく揺らがす。こうした国民をあざむき、生存権が危ぶまれる状況は、憲法の三原則である基本的人権の尊重、国民主権、平和主義の憲法原則を脅かし、立憲主義の否定につながりかねない。

連合北海道は、平和や民主主義が危機的な状況にあって、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認と、これに基づく日米防衛協力指針の改定を許さず、現在進めている請願署名など閣議決定の撤回に向けた取り組みを強化する。
あわせて、憲法に基づく平和的な外交力を高めることを求めるとともに、平和を願う多くの市民と連帯して憲法の三原則の貫徹を期し、平和な社会の実現に向けて組織の総力をあげて平和運動を進めることとする。


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